今回はドラマにおけるクール制の話をしていきたいと思います。
というのも、以前ウルトラマンのTVシリーズについてXでみんなは何クールを望んでいるのかなと思い下記のような質問をポストしてみました。
すると1万票以上という物凄い反響があり「みんな気になってるんだな~」というのを実感しました。
そこで今回はこのクール制について、ドラマに撮ってクールとはどんなものなのか、実際の制作サイドからするクール制の違いとは。
ウルトラマンTVシリーズでの話数の話なんかも書いてみたいと思います。是非最後までご覧ください。
- ドラマのクール制とは
- 各クールによる制作現場の違い
- ウルトラマンTVシリーズの話数の遍歴やクール制の現在地
あなたは何クール派⁉ドラマにおけるクールとは?
そもそもクール制とは
クール制とは、日本の放送業界で番組の放送時期を表す用語で、1年を4つのクール(四半期)に分け、各クールが約3か月の期間を指します。
1クールは、冬(1月)、春(4月)、夏(7月)、秋(10月)というように分けられ、1クール作品であれば12~13話、2クール作品であれば計24~26話となります。
大河ドラマや特撮番組など1年間の作品は4クールで50話と多いです。
クール制は、季節や社会的なイベントに合わせて番組を編成するための仕組みで、日本を中心に広がっています。
海外では「season」をよく使いますね。
クールによって現場の違い
僕自身は1クールから4クールまで制作側として全て経験しているので、その違いはよくわかります。
今回比べてみるのはあくまで制作側としての意見であり、物語の構成の話ではない事をご承知ください。
また僕はどちらも長所短所がある事を知っているのでどちらがいいという訳ではありません。
ということで、Xの議題でも上がったウルトラマンTVシリーズでの25話と50話の制作サイドの違いを見てみましょう。
- 撮影前準備がしっかりできる。
- 撮影中の準備作業が少ない。
- 撮影前に台本が揃う(時もある)
- 本編と特撮を1班で回せる
- 中途半端に撮影の無い期間が出来る
- 放送の反応で軌道修正しずらい
- 担当監督が減る
- 縦軸の話が多くなる
- 1年間安定して撮影がある
- 担当監督が増える
- 本編と特撮を別班にできる
- 放送の反応で軌道修正する事もできる
- 撮影中の準備作業が膨大
- 撮影前に台本が揃わない
- 予算が膨大
- 他の仕事をするチャンスが減る
というようなことが良くあります。
これは一例なので、こんな事ないよという現場もあるかもしれませんが、僕の場合はそうでしたね。
特に現場的に嫌だったのは撮影中に先の話の台本が配られることです。
撮影中は朝早く夜遅い生活が続くので、その中で新しい本を読んで、その本をバラシたり(話を分解して登場キャラクターや小道具などを調べる事)するのが本当に大変です。
眠いなか台本を読んでも頭に入ってこないですからね。
あと、これはウルトラシリーズ特有ですが、本編と特撮が1班体制であるか、2班体制になるかという事です。
これはどちらのメリットにも入れているんですが、25話では1班体制で本編と特撮を撮る事ができ、これはこれで本特のマッチングが良くなるのでメリットなんですが、体力的にはとても大変です。
50話になれば絶対に2班体制になるので、本編は本編に集中でき、特撮は特撮で集中できるのでこれもメリットですね。
あと1年間通して撮影があるのは、若いスタッフにとっては安定収入が得られるので地味にありがたいです、特に25話制だと撮影の無い期間2~3か月が中途半端に開くので、その間現場が入ればいいんですが、入らないと金欠になります。
収入が少なく安定しない若手にとっては4クールはありがたいかもしれませんね。
ただ、その代わりいろんな組に行きたいという人にとってはそのチャンスが減るので、これもメリットデメリット有りますね。
ネットの反応
ではネットではどんな反応だったのでしょうか?
個人的な感想として
— 近宮 遥 (@cial_private) April 9, 2024
トリガーの25話はほぼ文句なしにまとまってたように思うけどデッカーの25話はもう少し掘り下げ不足に感じた部分(最終話前のイチカさんのカナタへの心配が同期の関係以上に大きく見えたとか)もあるので難しいところ…
制作側の方にも無理しすぎないで欲しいですし難しいですね https://t.co/LcaBzIUhz9
50話で育った世代だから、諸々の問題が解決できるなら50話でやって欲しいかなぁ
— いぬすけ (@lyca_shiba) April 9, 2024
1年を一緒に過ごすってすごく特別な感じがする
話数に余裕があるから季節行事ネタとかやってくれて、それがまた1年を「一緒に」過ごした気分にさせてくれるんだよね https://t.co/vwYsRkEAQX
50話に投票したけど本音は50話じゃなくて3クールくらい。2クールじゃ足りないけど4クールは長すぎるっていう https://t.co/1l7erg2IK7
— kinomi11 (@kinomi11) April 9, 2024
正直50話くらいは長いけど、25話は尺足らず感を感じるというか、最終回前が駆け足なイメージなので、最終章全5話くらいで総話数30ちょいくらいがちょうど良さそうに感じます。 https://t.co/ZgkepxVQuB
— Leaf*Я🍃🦇 (@Producer0308) April 9, 2024
3クールが良いです
— \ おは / \\ ヴォー! // __, -、ー 、 (@goto8profes) April 9, 2024
初代ウルトラマンがそうでしたし https://t.co/QkNd9MU12i
などなど、意外に3クールという意見も結構ありましたね。
確かに3クールであれば、撮影の体力的にもうちょっと頑張ればできそうですし、放送の無い休眠期間ももう少し短くなるので、子供たちがウルトラから離れる時間も抑えられるかもしれませんね。
初代ウルトラマンが39話という事で、これを機に今までのウルトラマンの話数を振り返ってみたいと思います。
ウルトラマンTVシリーズの話数遍歴
タイトル | 話数 | |
---|---|---|
1966年1月2日-7月3日 | ウルトラQ | 全28話 |
1966年7月17日-1967年4月9日 | ウルトラマン | 前夜祭+全39話 |
1967年10月1日₋1968年9月8日 | ウルトラセブン | 全49話 |
1971年4月2日- 1972年3月31日 | 帰ってきたウルトラマン | 全51話 |
1972年4月7日 – 1973年3月30日 | ウルトラマンA | 全52話 |
1973年4月6日 – 1974年4月5日 | ウルトラマンタロウ | 全53話 |
1974年4月12日 – 1975年3月28日 | ウルトラマンレオ | 全51話 |
1980年4月2日 – 1981年3月25日 | ウルトラマン80 | 全50話 |
1996年9月7日- 1997年8月30日 | ウルトラマンティガ | 全52話 |
1997年9月6日 – 1998年8月29日 | ウルトラマンダイナ | 全51話 |
1998年9月5日 – 1999年8月28日 | ウルトラマンガイア | 全51話 |
2001年7月7日 – 2002年9月28日 | ウルトラマンコスモス | 全65話 |
2004年10月2日 – 2005年6月25日 | ウルトラマンネクサス | 全37話 |
2005年7月2日 – 2006年4月1日 | ウルトラマンマックス | 全39話 |
2006年4月8日 – 2007年3月31日 | ウルトラマンメビウス | 全50話 |
2013年7月10日 – 8月14日 11月20日 – 12月18日 | ウルトラマンギンガ | 全11話 |
2014年7月15日 – 9月2日 11月4日 – 12月23日 | ウルトラマンギンガS | 全16話 |
2015年7月14日 – 12月22日 | ウルトラマンX | 全22話 |
2016年7月9日 – 12月24日 | ウルトラマンオーブ | 全25話 |
2017年7月8日 – 12月23日 | ウルトラマンジード | 全25話 |
2018年7月7日 – 12月22日 | ウルトラマンR/B | 全25話 |
2019年7月6日 – 12月28日 | ウルトラマンタイガ | 全25話 |
2020年6月20日 – 12月26日 | ウルトラマンZ | 全25話 |
2021年7月10日 – 2022年1月22日 | ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA | 全25話 |
2022年7月9日 – 2023年1月21日 | ウルトラマンデッカー | 全25話 |
2023年7月8日 – 2024年1月20日 | ウルトラマンブレーザー | 全25話 |
なるほどなるほど、かなり興味深いですね。
いわゆるニュージェネレーションと呼ばれた最近は25話で安定していました、その前までは39~65話といろんな話数でやっていたんですね。
昭和初期のセブン以降は割と50話あたりで放送していたのでその世代や、ティガやガイアなどいわゆる「TDG」と呼ばれる世代の人は50話に親しみがあるんじゃないでしょうか。
逆に今のギンガ以降ニュージェネレーションと呼ばれる世代で育った人には25話がちょうどいいと感じるかもしれませんね。
僕はネクサス、マックス、メビウスとギンガS~ブレーザーまでを現場経験していましたが、50話やりおわった後の何とも言えない、スタッフやキャストに流れる「卒業感」は50話ならではでしたね。
特にウルトラは年上の隊長を中心として若いキャストが揃うので、学校のような雰囲気がどこかあるんですよね。
ギンガSから再び円谷現場に戻った時は、撮影期間もメビウス当時より短くなっていましたし、何といっても本編特撮1班体制だったので、毎シリーズ必死だった記憶があります。
よく「次は無いんじゃないか」という空気もジードあたりまではありましたね。
そういう意味では25話ではあるものの、ここまでシリーズを続けてこれたのは全スタッフ、キャストの頑張りの賜物と、ファンのみなさんの支えのおかげなのかなと思います。
最近のクール制の変化
さて、クール制の話に戻りますが、最近のドラマではクール制も変化してきています。
例えばNETFLIXのオリジナルドラマ。
原作が日本の漫画で話題の「寄生獣(グレイ)」ですが、これは何と6話完結のドラマです。
半クールですね。
その他にも日本の角界を舞台にした「サンクチュアリ‐聖域₋」は8話。
ドラマの尺も35~55分など話によって全く揃ってなかったりします。
ネットフリックスなど放送枠がない動画配信サービスが制作すると番組編成にとらわれない話数や放送時間を作れるんですね。
これにより、クリエイター側はより自由にストーリーを構成する事が出来ます。
また制作側も、少ない話数であればそれだけ各話に予算を振ることが出来ますし、反響が良ければ続編を作ればいいのでコントロールがしやすいのです。
実際この二作品のストーリーはとても完成度が高く、映像も見ごたえのあるものとなっているのでお勧めです!


このように、テレビ放送枠にとらわれないドラマ作りが台頭してきた今だからこそ、自由に発想してドラマ作りをしていかなければならないのかなと思いました。
視聴者の方も自由に視聴スタイルが選べる時代が来ているので、この機に色んなドラマを見てみてはいかがでしょうか!
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