みなさんこんにちは。
今回はディズニー+で配信中の『ガンニバル』について視聴したのでその感想をお伝えしたいと思います。
まず第一に伝えたいのは「面白かった!」
この作品とても面白かったです。何が面白かったってそのキャラクター描写です。
スリラーというジャンルを覆すかのような意表を突くキャラクターに魅了されてしまいました。
そこで今回は「ガンニバル」で印象的だった見事なキャラクター描写について解説していきたいと思います。
またキャラクターがストーリーにおいていかに重要か、観客の意表を突くキャラクターを作るコツについても解説している内容となっておりますので、是非最後までご覧ください。
『ガンニバル』に見るキャラクターの重要性
『ガンニバル』とは
ディズニー+で独占配信中のヴィレッジサイコスリラー。
柳楽優弥演じる阿川大吾という警察官が供花村という人里離れた村に赴任してくるところから物語は始まる。
監督を片山慎三、脚本をカンヌ受賞脚本家の大江崇允が務めており完成度の高い映像と、強烈に引き込まれるストーリー展開で全体を作り上げている。
また阿川演じる柳楽優弥の狂演ぶりも見どころの一つ。
暗い過去を持つ阿川の強烈なキャラクターを柳楽優弥が見事に演じ切っており、このキャラクターのおかげでスリラーというジャンルでは今までにない型破りなストーリー展開となっている。
あらすじ
この村に、喰われる―。
都会から遠く離れた山間の“供花村”に、家族と共に駐在として赴任した阿川大悟。しかし、美しい村には、ある噂があった―この村では人が喰われるらしい…。 警察官としての信念で真相を探る大悟だが、やがて村の穏やかな日常が“おそろしい”顔を見せ始める。次々と起こる不可解な出来事に、友好的だがどこか不気味な村人たち…大悟はすべてに疑心暗鬼になり、狂気の淵へ追いつめられてゆく。 おかしいのは自分か、やつらなのか…“人間の本質”を暴く、全世界を震撼させる驚愕の結末とは。
主演・柳楽優弥、鬼才・片山慎三監督、カンヌ受賞脚本家・大江崇允が贈る、閉ざされた村社会で常識が揺るがされるヴィレッジ・サイコスリラー超大作、登場。
引用:ディズニー+

※以降の記事は多少ネタバレを含む可能性があるので未視聴の方はご注意ください。
『ガンニバル』の何が面白いのか
まず初見の感想としてヴィレッジスリラーの怖さもさることながらこの「阿川」というキャラクター。このキャラクターに魅了されてしまいました。
スリラーというジャンルに登場するキャラクターは得てしてスリルを感じるキャラクターでなければなりません。
観客は登場人物に感情移入し、その世界観に没頭する事でスリルを味わう訳です。
しかし、この「阿川」というキャラクターは恐れないのです。
スリラーの中で恐れないキャラクターを主人公にする。
それはかなり型破りなキャラクタークリエイトですが、これがかなり良い。
普通なら恐れて足が竦むようなシーンであってもガンガン行く。
阿川というキャラクターの中には「正義感」よりも「怒り」「興奮」が第一にあるようでそんな阿川を見ていると次に何をしてくれるのかという期待感が観客を虜にしてくれます。
閉鎖的な村、組織的な家柄、陰鬱な風習、そのどれもをこの阿川というキャラクターがぶち壊してくれるのではないかという不思議な期待感にかられるのです。
しかし、型破りなキャラクターであってもそれが設定を崩壊させていては意味がありません。
そこはこの脚本の上手いところで、阿川がもともと暴力的な刑事であり、過去に大きな事件を起こして今は供花村に赴任してきている。過去のトラウマで言葉を離せない娘がいる。少し口の悪い元被害者の妻がいる。
というしっかりとしたバックボーンを描いているからこそ阿川という破天荒なキャラクターを説得力あるものとしているのです。
この緻密で、かつ大胆なキャラクターを作り出すことは観客をストーリーにのめり込ませるにはとても効果的に働いています。
そして過去のヒット作品の数々を見てみると、やはり観客の意表を突くキャラクター達がいくつも存在しています。
観客の意表を突くキャラクターを生み出す事がヒット作品を生み出すカギとなっているのです。
観客の意表を突くキャラクターが登場する作品たち
「HERO」(2001)-久利生 公平₋

2001年からフジテレビ系で放送された木村拓哉主演の法廷ドラマ。
木村拓哉演じる久利生は検察官という役職にもかかわらず終始ダウンジャケットといういで立ちで話し方もとてもフランクな型破りなキャラクター。
今まで検察官というとスーツを着た硬いイメージだったものを180度ガラッと変えてきたのは新鮮でまさに観客の意表を突くキャラクターとして人気を博しました。
第一期にとどまらず第二期と続編が作られ劇場版も大ヒットした作品、久利生のトレードマークである茶色いダウンジャケットも話題になりました。
「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(2003) ジャック・スパロウ

ディズニーランドで大人気のアトラクション「カリブの海賊」の映画化。
カリブ海を舞台にジョニー・デップ演じるジャック・スパロウが暴れ回る冒険活劇。
海賊映画から連想する武骨で活気あるキャラクターとは対照的にジョニー・デップが演じたジャック・スパロウはとても異質な雰囲気を醸し出していた。
時に軟弱に、時に陽気に、狂気的な笑いを浮かべながら一目散に逃げたり、カッコつけたり。
かなり異質でとらえどころのないキャラクターは観客たちを魅了し、それまで絶対に当たらないとされていた「海賊映画」で全米の興行収入3億500万ドルの大ヒットを記録した。
「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説THE MOVIE」(2009)ウルトラマンゼロ

せっかくなのでウルトラシリーズでも一人、型破りなキャラクターを紹介します。
それがウルトラマンゼロです。
それまでのウルトラマンと言えばそこまで自我を出す事がなく、キャラクターの比重はどちらかというと変身者に求められ、ウルトラマン自身のキャラクターはそれに寄り添うようなものでした。
しかしこのウルトラマンゼロはウルトラマン個人でかなり活発なキャラクターであり、今まで描写してきたウルトラマンという神聖な雰囲気というよりはかなり人間的であり、少年ジャンプから飛び出してきたようなキャラクターでした。
しかも純粋や熱血漢ではなく少しひねくれて、アウトローのような雰囲気を醸し出しているのも特徴です。
そんな今までに見たこともないウルトラマンのキャラクターは人気を博し、ウルトラマンの人気ランキングでは常に上位に来る人気者となりました。
そんな、ヒット作品のカギとなる「観客の意表を突くキャラクター」を作るにはどうしたらいいのか?
次にその作り方のコツをご紹介していきます。
観客の意表を突くキャラクターを作るコツ
まずは自分の作りたい作品のジャンルを明確にします。
そしてそのジャンルの登場人物の傾向を他作品を見ながら分析していきます。
例えばホラー映画を作りたいのであれば、他のホラー作品で主人公をしてきた人物にどういったキャラクターが多いのか、どういったキャラクターが適しているのかを他作品を見ながら確認していきます。
そうする事でそのジャンルに好まれるキャラクター像というものが見えてくるのです。
そこで、次にそのキャラクター像を自ら裏切ってみましょう。
例えば女性、清純、若い、バージンなどです。
これらはホラー映画で好まれるタイプのキャラクター像です。これらを裏切る事で「観客の意表を突くキャラクター」を作る事が出来ます。
しかしこれだけでは自分の作る物語に合うかどうかわかりません。
そこで、今度はそのキャラクターを自分の物語に落とし込んでいきます。
そうすることでこのキャラクターが自分の物語に合っているのか、上手く物語を運んでくれるのかを確認しましょう。
いくら観客の意表を突くキャラクターであっても物語に合わないのであればどんどんと浮いてきてしまい、観客は白けてしまいます。
ここのマッチングはかなり重要な要素となります。
またこの作品にキャラクターを合わせる作業で重要となってくるのが、整合性のあるバックボーンです。
いくら意表を突くキャラクターが出来たからと言って、そのキャラクターの性格が、人格形成において整合性がなければ説得力がありません。
今回のガンニバルで言えば、阿川の暗い過去であったり、犯人を憎む気持ちの表れであったりする事からその人格形成に説得力を持たせているのです。
その説得力があるからこそ観客の意表を突くキャラクターであっても物語の中で浮くことなく整合性をもって物語を転がしてくれるキャラクターとなっていくのです。
『長所』で尊敬し『短所』で愛される
とはいえ「キャラクターを作っていくのが難しい」「どうしても同じようなキャラクターになってしまう」という人もいるでしょう。
そんな方には次のようなキャラクタークリエイトの方法をご紹介します。
それはキャラクターに「長所」と「短所」を持たせてみることです。
様々な人気キャラクター、ヒットキャラクターに必ずあるものがこの「長所」と「短所」です。
例えばドラえもん
『長所』いろんな秘密道具を持っていて。頼りになる優しいロボット
『短所』ネズミが嫌いで、おっちょこちょい。
例えばワンピースのルフィ
『長所』ゴムゴムの実の力でとても強く、仲間想いで明るい性格
『短所』泳ぐことが出来なく、短絡的で情に絆されやすい
様々な人気キャラクター、ヒット作品にはこういった長所と短所を持つキャラクターが存在します。
彼らはその長所で物語をぐいぐい引っ張りますが、短所がある事でそこがチャームポイントとなって愛されるのです。
それに伴いその作品自体も愛される作品になるのです。
人は完ぺきなものではなく少し欠落している部分を見る事でそのギャップを愛するのです。
そういう意味では上記の作品のキャラクター達も上手く「長所」と「短所」を組み込んでいますよね。
人々は『長所』で尊敬し『短所』で愛するのです。
このキャラクタークリエイトに関してはこちらの書籍を参考にさせていただきました!
このように「観客の意表を突くキャラクター」というのは見るものをストーリーに引き込ませ魅了させてくれます。
しかし型にはまらないという事は諸刃の剣でもあります。物語に合わなければどんどん物語から浮いてしまいます。
そのためにもしっかりと整合性のあるバックボーンを持ち物語に落とし込むことをしてみてください。
きっとあなたの物語を一段と魅力的なものにしてくれるはずです。
コメント