超絶技巧、巨大特撮による360°カメラの使い方

雑感ノート

皆さんは360°カメラというものをご存知でしょうか。

360°カメラとは超広角ワイドレンズを複数搭載する事で360°全天球の映像を撮影できるというものです。

これは一枚の絵で見てしまうとこのように球体のように写っていますが、360°すべての映像が収録されているため、例えばVRゴーグルを着けて見ると360°ぐるっと見渡す事が出来るのです。

こんな360°の映像を撮ってどうするの?と思われる方もいるかもしれませんが、このカメラの凄いところは、ぐるっと360°素材を撮った後、あとからカメラワークを着けることが出来るのです。

これを「リフレーミング」と言います。

例えば、スキー選手の頭に着けてコースを滑るとします。

本来のカメラであれば撮影者の向いている進行方向しか撮ることが出来ません。

しかし、360°カメラであれば全ての方向を収録しているので後ろの後続者の様子だったり、横目に流れる景色をあとからじっくり見ることが可能なのです。

360°カメラでメジャーな「Insta360」シリーズの紹介動画はこちら

このリフレーム機能に目をつけいち早く特撮作品に応用した監督がいます。

それが坂本浩一監督です。

坂本浩一プロフィール

  • 生年月日: 1970年9月29日
  • 出身地: 東京都
  • 職業: 映画監督、プロデューサー、アクション監督

坂本 浩一監督は、日本出身の映画監督、プロデューサー、アクション監督で、特にアクション映画や特撮テレビシリーズで知られています。彼のキャリアはアメリカと日本の両方で展開されており、特に「パワーレンジャー」シリーズや日本の特撮テレビリーズで広く認知されています。

日本のスタントマンチーム「アルファスタント」の創設メンバーであり、作品にダイナミックなアクションシーンを盛り込んでいくことで有名です。

超絶技巧、巨大特撮による360°カメラの使い方

坂本浩一監督はこの360°カメラを使い積極的に映像作品に取り入れていきました。

特に凄いのは360°カメラを巨大特撮に使用した事です。

巨大特撮は「隠すのが基本

地面や地平線、空ホリの限界など映すと破綻するものがたくさんありそれをどう隠しながら巨大感を見せていくかが基本となります。

ところが坂本監督はそのミニチュア特撮で360°カメラを縦横無尽に使ったのです。

360°カメラを使った坂本浩一監督作品
出典 円谷プロダクション

ウルトラマンZ 第7話「陛下のメダル」

出典 円谷プロダクション

ウルトラマントリガー第1話「光を繋ぐもの」

撮影はオープンロケで行いましたが、他の建物はほぼCG処理がなされました。

キャラクターをだだっ広い場所で格闘させ、棒につけた360°でその格闘の隙間にカメラを差し込んでいきました。

いくらあとからカメラワークをつけられるとはいえ、狙っている動きの時にカメラが離れていては意味がありません。

監督自らキャラクターの動きに合わせて「この動きの時は、カメラはこのポジション」と細かく指示をしていました。

そして、完成した映像は今まで見たこともない迫力のものとなったのです。

完成作品はこちらから

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新たな可能性を見出し始めた360°カメラ

現在はだいぶ360°カメラの映像も増えてきて新たな使用を模索する段階にきています。

これからは奇抜な映像だけでなく、手法に合わせて選択肢の一つとして360°カメラが選ばれるようになると思います。

また、新たな技術も台頭してきています。

「LED背景」「生成AI」「Unreal Engine」といった技術は世界観を創る技術として秀でており、全てを収録する360°カメラとの相性は良いはずです。

Unreal Engine(アンリアルエンジン)
Unreal Engine

Unreal Engineは、Epic Gamesが開発した高度なリアルタイム3Dコンピュータグラフィックス用のゲームエンジンです。

高品質なビジュアルとパフォーマンスを実現するためのツールと機能が豊富に揃っており、ゲーム開発だけでなく、映画制作、建築ビジュアライゼーション、シミュレーションなど様々な分野で利用されています。

特に3D世界をシミュ―レーションすることが得意とされ、多くのオープンワールドゲームがUnreal Engineで制作されています。

例えばUnreal Engineの作る世界の素材として360°カメラを使えば、ロケーションに出る事なく、その場所を3D空間にすることが出来きます。

またその3D空間をLEDに投影すれば、合成無しで撮影することも可能なのです。

まさにロケ地に撮影しに行かない時代が来たのです。

ソニーPCL 清澄白河BASE

このように360°カメラにはまだまだ掘り下げる価値のあるカメラだと思うので、今後も注目していきたいと思います。

みなさんも機会があればぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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