皆さんこんにちは、今回はエイリアンシリーズの最新作「エイリアン: ロムルス」のアナログ特撮について解説していきたいと思います。
「エイリアン:ロムルス」は原点「エイリアン」の精神に則り様々なところにアナログ特撮が多用されています。
今回はそんなロムルスの映画のメイキングを紹介しどのような技術が使われているのか、そしてなぜデジタルではなくアナログ特撮にこだわるのか、その理由を深堀したいと思います。
是非最後までご覧ください。
「エイリアン:ロムルス」に見るアナログ特撮と恐怖
「エイリアン:ロムルス」とは
「エイリアン:ロムルス」は初代「エイリアン」の生みの親リドリー・スコットが製作を務めた「エイリアン」シリーズの最新作です。
物語は「エイリアン」と「エイリアン2」の間の話となり、主人公は孤児のレインを中心に人生の行き来場を失った6人の若者たちを描いています。
エレン・リプリーとはまた違った視点で「エイリアン」の世界観を堪能できますね。
監督は「死霊のはらわた」リメイクや「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルパレス。
製作をリドリー・スコットが務めているため世界観はかなり「エイリアン」を踏襲しているのが特徴。
当時では当たり前だったアナログなブラウン管のパソコンなどが使われている等どこかレトロフューチャーな雰囲気も漂っています。この映画を見た後に久々に「エイリアン」を見たくなりましたね。
あらすじ
恐怖の原点にして頂点である『エイリアン』の“その後の物語”。 人生の行き場を失った6人の若者たちが、生きる希望を求めて足を踏み入れた宇宙ステーション“ロムルス”。 だが、そこで彼らを待っていたのは、恐怖と言う名の絶望──寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する “エイリアン”だった。 しかも、その血液はすべての物質を溶かすほどの酸性のため、攻撃は不可能。 宇宙最強にして最恐の生命体から、彼らは逃げ切れるのか? 広大な宇宙の密室で起こる究極のサバイバル・スリラーを、映画館で体験せよ!
©2024 20th Century Studios.
【映画『エイリアン:ロムルス』日本オリジナル予告】
「エイリアン:ロムルス」に使用されていた特撮技術
さて今回の「エイリアン:ロムルス」はデジタルに頼らないリアルな恐怖を追求というコンセプトで宣伝されており、撮影現場のメイキング映像も公開されていました。
その映像を見ると確かにアナログ特撮をふんだんに使っている事が分かります。
まずはこちらのメイキング映像をご覧ください。とても面白い映像になっています。
公開されているメイキング映像はこちら☟
こちらの映像ではフェイスハガーのアニマトロにクスや、ラジコンを使ったフェイスハガーが床を走っている映像もありました。あのフェイスハガーがなんとも可愛らしく映ってますね。
またゼノモーフの着ぐるみはかなり精巧に作られているようです。
首回りがスッキリしているデザインなので、人が顔を動かすと干渉することなく首が動く仕様となっているようですね。
多少のCGは使っているかもしれませんが、多くの部分着ぐるみのアクターを使っているようです。
また人間が出来ない動きに関しては何とロボットアームを使って動かしているようです。
その映像がこちら☟
このように、一見CGにすればもっとコストがかからず楽なんじゃないかと思われる動きも徹底的に生で撮る事を求めている雰囲気が感じられるメイキング映像ですね。
ではなぜそこまでアナログ特撮にこだわるのか?
それにはエイリアン特有の「SFスリラー」にヒントがありそうです。
「エイリアン」シリーズから見るアナログ特撮の技術
そもそもSFとCGの親和性はかなり高いです。
今まで見たことの無い物を作り出すSFというジャンルにCGはとても使いやすく、その成功例というのは「トランスフォーマー」や「スターウォーズ」等でしょう。
これらの作品はCGをふんだんに使い、私たちに見たこともない世界を見せてくれました。
しかしこと「エイリアン」に関しては全く別なのです。
なぜならこの「SFスリラー」というジャンルは人々に恐怖を感じてもらわなければならないからです。
そして、その恐怖を感じるのに欠かせないのが『存在感』です。
私たち視聴者はCGのキャラクターを見た時に「凄い」とは感じますが、そこに「存在する」という実感がなかなか出来ません。
最近ではかなりCG技術が発達して今までよりもかなり精巧なCGを作っていますが、なぜか我々の脳はその対象を「物」でなく「CG」として見てしまうようです。
そしてこの『存在感』というのがエイリアンにとってはかなり重要な要素となります。
映画「エイリアン」シリーズでは今まで様々なアナログ特撮が多用されてきました。
ミニチュアのセットやフォグや炭酸を使った特殊効果。高身長のスーツアクターを使ったゼノモーフのスーツやパペットを使用した四足歩行エイリアンなどなど。
そしてそれらのアナログ特撮が薄暗い照明や、精巧な美術、緊迫したカメラワークと絡み合いとてつもないエイリアンの存在感を感じて恐怖するのです。
つまり…
恐怖=存在感=アナログ特撮
という式のようにアナログ特撮がエイリアンの存在感を感じさせ私たちに恐怖を与えてくれることから「エイリアン」シリーズは一貫してアナログ特撮にこだわってきたし、必要だったのでしょう。
デジタルを使用するとホラーとして必要な部分を阻害してしまいます。
薄暗い照明。フォグや炭酸の煙等の特殊効果、実際に実物を目にした時の俳優の恐怖の表情。
どれをとってもホラーには必要な要素であるが、デジタル合成をする場合その度合いを弱めてしまう。
合成をする場合、暗すぎる照明は難しいため、照明をあまり落とさず撮影し後処理で暗くしたり。
フォグや炭酸など合成に絡むシーンには使用できません。
俳優の芝居も実物が目の前に存在するか、デジタルグリーンで動く人間を相手にするではその表情も全く変わってくるはずです。
また、今回のメイキングには水場のシーンも登場しました。
こういう場面にもアナログ特撮はリアルを追求できます。
フェイスハガーが飛び出した時の水しぶきや、フェイスハガーと戦う役者が水をまき散らしながら暴れるなどの迫力な画を撮るにはアナログ特撮はとても適しています。
またデジタルはどうしても画コンテ先行の画作りになってしまう性質があります。
デジタル合成の部分は先行して画コンテを用意し、どのように撮るかはVFXアドバイザーと打ち合わせをして撮影に臨むことが多いため、現場でのイマジネーションで新たなカットを生み出しにくいという難点もあります。
その点、アナログ特撮であれば着ぐるみがそこにあるため現場判断で色々なカットを撮る事も柔軟に対応できます。
このようにアナログ特撮にはとても優位性のある部分が多くあります。
しかし、だからと言ってデジタルがダメという訳でもありません。
デジタルでしかできない描写だってもちろんあるわけです。
アナログとデジタル、どちらの特徴を生かした方がその映画のテーマに沿えるのか。そこを考えるのが監督の裁量という訳です。
アナログだけではなく、デジタルだけでもない。どちらの強みも知っている事こそ演出の幅が広がるのです。
いかがだったでしょうか。
今回は『エイリアン:ロムルス』に見るアナログ特撮と恐怖の関係について解説してきました。
今回の映画を見て「エイリアン」シリーズを見返してみると、その時代に沿ったアナログ特撮やデジタル技術が垣間見れて面白いですよ。
ぜひ他の「エイリアン」シリーズも見てみてはいかがでしょうか。
エイリアン
宇宙貨物船ノストロモ号が辺境惑星LV-426から発せられた謎の信号を受信。惑星を調査するため乗組員が惑星に降り立つと、そこで地球外生命体の宇宙船を発見する。その中を調査すると、そこで乗組員のケインが謎の生物に寄生され、意識不明の状態になってしまう。急いで、寄生されたケインを回収、ノストロモ号に戻り、地球への長い旅路に戻る。その後、ケインに寄生していた謎の生物は勝手にはがれ取れ、ケインは目を覚まし、元気そうな様子を見せる。乗組員たちが安心した矢先、突如ケインが苦しみだし、その腹部からエイリアンが飛び出し、逃げ去っていく。ここから、まともな武器のない状況での乗組員たちと一匹の「エイリアン」との命を懸けた戦いが始まる。
エイリアン/ディレクターズ・カット (字幕版)
エイリアン2
ノストロモ号の生存者リプリー(シガニー・ウィーバー)が低温睡眠のまま宇宙を漂流し、なんとか地球にたどり着くまで57年が経過した。その間、惑星LV-426は人間が暮らせるようにテラフォーミングされ、開拓者とその家族たちが住んでいる状況にまで変化。しかしリプリーが目覚め、エイリアンとの事象を報告後しばらくすると、それまで問題なく開拓作業が進められていたLV-426との連絡が不通となる。この緊急事態に海兵隊が派遣されることが決まり、リプリーもアドバイザーとして同行する事となる。こうして再びLV-426に赴くことになったリプリーとフル装備の海兵隊たちがエイリアンの大群と戦う。
エイリアン2
エイリアン3
リプリーたちは宇宙船で低温睡眠のまま地球に帰還している最中、船内で謎の事故が発生。自動的に脱出艇に乗せられたリプリー達はそのまま刑務所惑星に不時着、生存者はリプリーのみとなる。リプリーと惑星にいた数人の刑務所職員と数十人の囚人との生活が始まる中、脱出艇に潜んでいたエイリアンが活動を開始する。老朽化が進んだ設備と武器のない環境の中、リプリーと囚人たちは1匹のエイリアンに立ち向かう。
エイリアン3(字幕版)
エイリアン4
「エイリアン3」の出来事から200年後。ある宇宙船内で最新のクローン技術を用いてエイリアンを宿した状態のリプリーが復活。そこから科学者たちがエイリアンを摘出、リプリーは遺伝子の一部にエイリアンの強化要素を宿した強じんな肉体のまま、生かされる。そして、科学者たちはエイリアンの繁殖のために必要な人間を確保するため、宇宙貨物船「ベティ」にその輸送を依頼。依頼を受けたベティが低温睡眠された状態の多数の人間を運び込み、エイリアンの繁殖が開始。繁殖したエイリアンたちは檻に閉じ込められていたが、知恵を使ってそこから次々と逃亡、あっという間に宇宙船内はエイリアンだらけとなってしまう。船内の生き残った人間と居合わせたベティ乗組員、そしてリプリーは脱出するため、エイリアンがはびこる宇宙船を横断し、ベティへと向かう決断をする。
エイリアン4 (字幕版)
プロメテウス
映画「エイリアン(1979年公開)」の前日譚。地球上にある古代遺跡から人類の起源を解くヒントを得た学者と調査隊たちが宇宙船プロメテウスに乗り込み、ヒントが示す惑星LV-223を目指して旅立つ。旅の途中、考古学者のエリザベスがエンジニアと呼ばれる宇宙人が人類を創造したのではないかという仮説を調査隊のメンバーに披露する中、惑星に到着。すると人工的に作られた構造物を発見、早速調査を開始する。調査の中、様々な文化的構造物を見つけると共に、エンジニアの亡きがらを発見。さらに謎の容器も見つけ、それを回収する。ここから、調査隊たちは想像を超えた恐怖と対峙していく事となる。
プロメテウス (字幕版)
エイリアン:コヴェナント
プロメテウスの悲劇から11年後。低温睡眠状態の数十名の乗組員と入植者2000名を乗せた宇宙船コヴェナントは植民のため、遥かかなたの惑星オリガエ6を目指していた。そんな中、想定外の事故が発生、乗組員は低温睡眠から目覚める中、乗組員と入植者たちから犠牲者が出てしまう。船員たちが悲嘆に暮れる中、船の修復作業をしていると謎の信号を受信、信号の発信元を調べるとそこは数週間で行ける距離であり、しかも生物が生息するのには好条件がそろった惑星であることが判明する。そこで進路を変更、惑星に到着、調査隊が惑星に降り立つ。この謎の惑星で調査隊を待ち受けるものは希望か絶望か?
エイリアン:コヴェナント (字幕版)
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